税務事例紹介

起業・創業時のご相談

■記事更新日 :2015.01.04
会社設立前にかかった経費はどうなるの?
会社設立に際して初めて事業をはじめる又ははじめた方(会社設立までに個人事業をしていない方)

1.設立期間中の損益
 原則として、設立期間中の損益は会社の1期目の損益に含めることができます。
但し、その設立期間があまりに長期化する等のケースでは認められない費用もあります。


2.会社設立のための費用
 会社設立には設立費用等のほか、諸々の経費がかかります。
(ちなみに許認可等が不要の会社設立ですと※30万円弱程度でも会社の設立が可能です。)
 ※税理士原俊之事務所では20万円弱でも対応できる場合があります。

 会社設立のための費用は、通常必要と認められる費用に限り、第1期の会社経費にすることができます

 また、会社成立後~営業開始までの期間の費用も税務では開業費とよび、支払時の経費とすることが可能です。
 固定資産については、資産計上し耐用年数と呼ばれる使用可能期間(その資産の種類等によって定められています。)にわたって年々費用としていきます。

個人事業を営んでおり、会社を設立して事業を引き継ぐ方(従来、個人事業をしていた方)

1.設立期間中の損益
 会社の第1期は、会社設立日から決算日迄となります。
したがいまして、
●法人設立日の損益・・・個人事業の損益
●法人設立日以後の損益・・・会社の損益

と明確に区分する必要があります。


2.個人事業時代の資産等の会社への引き継ぎ又は貸付 
 個人事業時代に使用していた固定資産や在庫を会社で使用することとなりますが、
法律上個人と会社は当然別ですので、会社が使用するに当たりその移行方法を検討する必要があります。

その方法はいくつかあります。

①個人から会社への売却(現物出資も含む)
②個人から会社への賃貸
とあげられます。

①個人から会社への売却
 個人事業で使用していた固定資産や在庫を会社に売却する方法です。

「メリット」
● 最もクリアな方法です。
● 不動産の譲渡については分離課税となり、事業所得より低い税率となる可能性がある。

「デメリット」
● 個人に売却収入が発生し、個人には原則として所得税等が発生します。
● 個人事業で消費税の納税義務がある時だと、固定資産の売却等に関しても消費税の納税が必要となる。


②個人から会社への賃貸

「メリット」
● 上記①のように、個人に売却収入は発生しない。
● 会社が消費税の納税義務が発生した時に、原則として賃借料について消費税分を控除できる。 (但し、1期目は資本金が1千万未満なら通常消費税は無い。)

「デメリット」
● 個人に会社への賃貸料が発生するので、会社を作っても個人の申告も毎年必要となり煩雑で、申告を税理士に依頼する場合追加コストがかかる。
● 個人事業で消費税の納税義務がある時だと、消費税の納税が必要となる。
 
 上記に2つの方法を列挙しましたが、特殊な事情等ないかぎり通常は①の個人から会社への売却をお勧めします

 したがいまして、
個人事業で消費税の納税義務がないうちに会社を設立してしまう。
 というのが望ましいと思います。

 ただし、在庫等が無い、経営コンサルティング業等はあまり消費税の納税義務の時期等について、通常はこだわらなくても大丈夫です。


3.個人事業から法人へ移行した場合の注意点
 個人事業は廃止となりますので、廃業届等を税務署に提出します。
なお、その年の1月1日から廃業の日までの損益は、翌年3月15日までに個人の確定申告が必要となります。

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